小説「ウィザーズ・ブレイン」

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ウィザーズ・ブレイン 三枝零一 機銑后憤焚実慨)

 つい先日に慌軸が発売された、「ウィザーズ・ブレイン」です。
 大気制御プラントの暴走により厚い雲に覆われ極寒の地となり、第三次世界大戦によって滅びつつある地球を舞台として、世界の『情報』を書き換え物理法則すら操る《魔法士》の少年少女たちの戦いを描くSFアクションノベルです。
 率直に言えば、かなり作りこまれたとてもいいSF作品だと思います。情報系の専門用語とこの作品での造語が入り乱れるので、そういうのが苦手な人には読みにくい作品だとは思いますが、はまる人は大いにはまってしまうのでは? 自分は、この作品がライトノベルにはまるきっかけとなったので、とても思い入れが強いシリーズになっています。
 この作品が面白いと思う最大の理由は、やはりしっかりと設定付けされた『情報制御理論』なるものがあるからでしょう。この作品に出てくる『情報制御理論』というのは、「この世界は、現実世界と情報の海とが二重写しになっている」という理念のもと、情報の海に存在する情報を書き換えることで現実世界の物体を制御するという技術です。これによってエントロピー増大則は軽々と打ち破られ、永久機関まで存在します。まぁ、エントロピー増大則を破るのは現実では絶対に無理でしょうからねぇ、こういう設定はSFならではであり、SFの一番面白いところだと思います。この『情報制御理論』の設定こそが、この作品の面白さを何倍にも高めていると思います。
 そして、細かく描写されるアクションシーンも物語の臨場感を高めます。情報制御によってまさに人智を超えた動きで展開するバトルシーンはとても迫力があります。最近は専門用語も増えてきて、「量子力学的制御で確率密度を操作して物体を透過する」とかわかんない人にはさっぱりだろうなぁとか思ったりもしますが、理系の自分にはとても面白い傾向です。
 現在、垢泙波売されて、ようやく役者も揃い、ついに「ウィザーズ・ブレイン」の本当の物語が始まるようです。比較的刊行のペースが遅いシリーズなので、困出るのを首を長くして待つとしましょう。